金雲のすき間

合戦図屏風より愛を込めて

映画『関ヶ原』を観てきました

平日の午前、水曜日のレディースデイということで、題材的におそらく空いているだろうと思って出かけてみたのですが、意外に席は埋まっていました。

司馬遼太郎さんの『関ヶ原』はかなり以前に読んでますので、内容は十分承知。3時間弱の上映時間に上中下3巻に渡る長編に描かれた各武将の内面までスポットが当たるとも思えず、どうまとめられているのか、どのエピソードがチョイスされているのか、気になるところも多くありましたが、映画館の大スクリーンに映し出される合戦のスペクタクルこれが一番の見所。

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関ヶ原に至る家康と三成の葛藤は短時間にまとめるには濃すぎる内容。端折られるというよりは後半の合戦へ向けて急ぎ足に役者が早口に捲し立てた印象。画面がおっさんばっかりになるのをなんとかしようとしていたのか、原作オリジナルの初芽さんがやたら出てくるのですがそれほど役に立っていなかったのでは? それに繋がる三成が合戦後生き延びようとした理由が……うーん……そんなことでいいのだろうか。

小早川秀秋の寝返りに関して、史実も諸説ありドラマや書籍ごとにいろいろと解釈違いがあるものですから今回はどんな金吾が来るのかとその辺も楽しみにしていたのですが、巻き込まれ型でした。その扱いは原作にもなかったのですが金吾君よい人でしたね。

主役三成は正義感溢れる義を大切にする優等生で人望がないという感じではなかった。家康は天下を狙う老獪で脂ぎったおっさんという描かれ方で、さすが役所広司はいい演技でした。この家康で大坂の陣も観たいなとちょっと思いました。

石田三成は江戸時代に作られた奸臣のイメージから近年見直しが進み、この司馬遼の関ヶ原で義の人として定着したのではないでしょうか。

なにはともあれ合戦図屏風好きとして、合戦前夜に東軍赤坂・西軍大垣城に張られた陣の様子が映し出された時に「おおおおお!これは関ヶ原合戦図屏風:津軽本そのもの!!!」と感動したことだけは伝えたいです。

合戦はまさに動く合戦図屏風!

たぶん、着目点が他の人と違います。