金雲のすき間

合戦図屏風より愛を込めて

『戦国!井伊直虎から直政へ』展へ行ってきました

毎日暑い日が続いていますが、涼しくなったら出かけようなどと思っているとあっという間に開期が終わってしまうので万障繰り合わせて慌てて江戸東京博物館まで行ってきました。

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ポスターの長久手合戦図屏風がいい味を出してますね。

丸ロスと戦いながら年頭より大河『おんな城主 直虎』見始めましたが、比較しちゃいけない。『直虎』には『直虎』の面白さがあります。

それはさておき、今回の目的は『長久手合戦図屏風』『関ヶ原合戦図屏風』『聚楽第行幸図屏風』でありました。
どこへ行ってもまずは屏風なわけですが、大河関係の展示も楽しいですな。

音声ガイドは南渓和尚小林薫さん。ちなみに本体のにゃん渓和尚(猫)は登場しませんでした。

実は男だったのではないかとも言われている直虎ですが、「直虎」の名と花押のある唯一の書状や「次郎法師」と書かれた黒印状などを見ると男女どちらだか定かではないけれど確かに存在した人なのだなと実感出来ます。

一部、撮影可の展示品もありました。

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直盛さん、直虎の父上ですな。

 

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大河で大暴落した亀之丞さんこと井伊直親

 

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その亀之丞さんが神社に奉納した、青葉の横笛。

 

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にゃん渓、もとい南渓和尚

 

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傑山宗俊印可

昊天さんの軸もありました。大河でお馴染みの名前を見るとおお!っとなります。

 

他の展示品は撮影禁止です。

目的の『長久手合戦図屏風』は浦野家旧蔵とのこと。お初であります。
現存するほとんどの「長久手合戦図屏風」は同じ構図です。成瀬家本が祖本と言われていますが、その成瀬家本にももっと古い祖本があったのではないかという説もあります。合戦図屏風は先祖の活躍を伝えることを目的に描かれているので、祖本に先祖の勇姿を描き加えたり先祖を引き立たせる為に他の武将を消したり、自家に有利になるように改変し写本を作成しています。同じ構図ながらよくよく眺めると微妙な違いがあるのはそんな理由があるわけです。

今回の展示には行田市所蔵の『関ヶ原合戦図屏風』がありました。同上の理由で同じ構図の「関ヶ原合戦図屏風」にも同様の齟齬があります。一隻であったものに前日譚を描き足して一双となっているのが今回展示されている『関ヶ原合戦図屏風』の特徴です。

長久手合戦図屏風』も『関ヶ原合戦図屏風』も、今回展示されていた井伊の軍旗の下、赤備えの井伊直政率いる一軍が屏風の中で赤々と目立っています。

 

もう一つの目的が『聚楽第行幸図屏風』でありました。
後陽成天皇が秀吉の建てた聚楽第行幸する様子が金雲の中に描かれている豪華な一双です。秀吉に随行した家康の家臣の中で唯一直政が侍従に任官されたとのことですがさすがにどれが直政であるのか探すのは難しいです。

 

今回、井伊直孝の活躍を描いた『大坂夏の陣図(若江合戦図)』の展示がありましたが、彦根城博物館所蔵で『大坂夏の陣図屏風(若江合戦図)六曲一隻』と屏風の形になったものもあります。どちらも井伊隊の赤備えが目に鮮やかです。

 

戦国時代の展示は必ず合戦図屏風や風俗図屏風があるので、時代を直に眺めることが出来る唯一の機会となります。百聞は一見にしかず。当時を描いた屏風はとても楽しいです。

 

ぜひ