金雲のすき間

合戦図屏風より愛を込めて

『戦国時代展』へ行ってきました

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姉川合戦図屏風がお出迎えです。

『戦国時代展』は今回、東京会場・京都会場・米沢会場の3会場を巡回します。
会場ごとに展示品の入れ替えがありますし、同会場でも前期と後期で違う展示となりますので、いけるものなら全部行きたいですがそういうわけにもいかず……

さて東京会場の前期です。

目当ての屏風はまず『川中島合戦図屏風・米沢本』同じ構図の勝山城本は後期の展示となります。川中島合戦図屏風は、岩国本といわれるものが一番古く有名で、その次に発見されたのが紀州本。岩国本は武田軍側から軍記『甲陽軍鑑』を元に描かれており、一方紀州本は上杉軍側から軍記『北越軍記』を元に制作されていると言われています。今回展示されていた、米沢本はその両方の屏風を折衷したような構図で江戸時代後期に制作されたものです。岩国本と紀州本はどの会場で拝見出来るのでしょうか、東京会場での展示がないのが残念です。
今回の川中島合戦図屏風は右隻左隻並んだ状態で展示されていました。ありがたいです。長期の展示による傷みを防ぐ為、前後期で右隻左隻泣き別れが多いのですが、一双の屏風は並べて眺めると迫力が違います。合戦のダイナミックな構図を堪能するにはやはり左隻右隻同時の展示が一番だと思います。

今回は『姉川合戦図屏風』の展示もありました。現存する姉川合戦の屏風はこれ一隻だけです。大変貴重なものであります。また昨今流行りの刀剣好きな方にはお馴染みの太郎太刀を掲げる真柄直隆が屏風の中央付近に見られます。太刀の長さを実感出来る絵柄ではないでしょうか。

 

『戦国時代展』は、上杉・武田から織田信長時代までを中心とした展示品が並んでいました。特に上杉関係の書状が多く、また毛利・尼子関係や大内氏関係の展示も充実、昨年の大関ヶ原展以前の戦国時代を中心とした特別展という捉え方でしょう。

上杉博物館所蔵の国宝・洛中洛外図屏風は残念ながら東京会場では展示がありませんが、京都会場で是非見ていただきたい屏風です。私は米沢で舐めるように眺めてきましたが、織田信長から上杉謙信に贈られたという当時の権威の象徴のような金ぴかの屏風は圧巻です。

他に印象に残ったのが『芸州厳島御一戦之図』厳島合戦の動きが手に取るようにわかる絵画図でした。
また、毛利元就の三本の矢の逸話の元になったといわれる長〜〜〜〜い書状。文書が長いと言われる毛利元就らしいお手紙でした。

図録は最近流行りの分厚いハードカバー。持ち帰り用に+270円で、五虎退柄の小さいバッグもありました。

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後期や他の会場での展示品も全て掲載されていますので、今回見ることが出来なかったものも多く、また行かなくては!と思うものです。