金雲のすき間

合戦図屏風より愛を込めて

『神仏・異類・人 ー奈良絵本・絵巻にみる怪異ー』展へ行って来ました

 

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國學院大學博物館は初めて行きましたが、広くて展示品も見やすく入場無料でいいのかしら?という充実した博物館でありました。

 今回は企画展の方を目当てです。妖怪・怪異系の日本画はこれも芸術どうこういうものではなく楽しむべきと思うのです。

 企画展の趣旨です。

 日本には、ふるくから不思議な物語があります。たとえば、かぐや姫が月にのぼる物語、大むかでや鬼といった化け物を退治する物語、ねずみが人間のように生活刷る物語などです。
 これらの物語では、人間だけではなく、神仏や鬼・妖怪などの異類も、さまざまな思いを抱えながら感情豊かに、また魅力的に活躍します。
 こうした不思議な物語の多くは、諸町時代後期から江戸時代中期にかけて制作された彩色入りの写本[奈良絵本]に仕立てられました。その絵は、素朴で淡い色彩のものから、金銀などが使用された豪華絢爛なものまで種々さまざまで、現代に至るまで多くの人々の目を楽しませてきました。
 本展示では、現実にはあり得ない不思議なこと[怪異]を描いた奈良絵本・絵巻を通して、物語のおもしろさや魅力を紹介します。

 

展示数はそれほど多くありません。20点ちょっとですので、少々物足りなさは感じましたが、私以外に観覧者もなく ゆっくりと1品1品を眺めることができて思う存分怪異を堪能しました。展示品全部、国学院大学の所蔵とのこと。

そもそも『奈良絵本』ってなんなのだろう、と調べてみました。

室町時代後期から江戸時代前期頃まで製作されていた絵入り彩色写本を、「奈良絵本」と総称している。明治以来、書肆やコレクターの間で使用されてきた名称だが、由来ははっきりしない。奈良絵本は、時代により形態や描き方が異なる。桃山時代から江戸時代ごく初期頃のものは、縦30cm前後の大型の冊子で、巻物の名残が見られるものが多い。寛永から江戸時代前期頃に製作され、御伽草子おとぎぞうし類に題材をとったものは、横本の形態である。文字の書き手、絵の書き手、表紙を付して装訂する職人などの分業体制で作られ、「間似合まにあい」と呼ばれる料紙が用いられている。寛文・延宝頃(1661-81)には大名や富裕層を対象に、金泥銀泥などを使用して極彩色で緻密に描かれた豪華な絵本も製作された。奈良絵本は江戸時代中期以降は次第に姿を消す。今日、美術史、文学史の両面から研究されている。

 

奈良絵本・丹緑本 | 第三部 楽しむ ~絵入り本の様ざま~ | 国立国会図書館開館60周年記念貴重書展 学ぶ・集う・楽しむ 

 

奈良絵本楽しそうです。俄然興味が湧きました。

なお、年明けに後期展示となり展示品が多少変更されるので、また時間があればいってみたいと思います。

国学院大学史学関係が充実していますので、常設展は古墳時代から現代までの祭祀に関わる遺物や、埴輪・土器などがびっくるするほどたくさん展示されていました。

予期せず、屏風と出会うと合戦図屏風でなくとも思いっきり眺めてしまいます。今回拝見しましたのは『御田植・巫女舞図屏風』なるもの、いつ頃の制作なのか説明書きにはなかったのですが豊作祈願のようすでした。なかなかに立派な屏風で、人物がデフォルメされておらずきちんと描き込まれていたのが印象的でした。江戸時代だろうな、あれは(About過ぎ……)

 

妖怪は可愛いです。

 

追記

その時いただいたパンフレットが豪華。
図録がなくても無料でこんなに素敵なパンフ配付していただけるのは嬉しい。

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